店舗づくりで必要な内装制限とは?建築基準法をわかりやすく解説!

店舗の内装は雰囲気を決めるだけでなく、売上にもかかわる大切なポイント。店のコンセプトや客層の傾向、敷地の特性などをすり合わせながら、最上の内装をデザインすることが求められます。


しかし建築の法律である建築基準法には内装材に関するさまざまな規定があり、とりわけ店舗やテナントビルは「内装制限」の対象になります。

今回は内装制限の目的や、店舗デザインを考えるうえで必要となるポイントなどをご紹介します。




【目次】

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・内装制限とは?

・内装制限を守るために使われる建材とは?

・内装制限の対象となる建物の条件とは?

・内装制限は緩和できる?

・内装制限をクリアしながら理想の店舗デザインにするために必要なことは?

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■内装制限とは? 守らないと罰則対象に!



内装制限は建築基準法において定められているもので、建物内部で火災が発生した際に内装が燃えることで、火災の拡大や有害ガスでの避難が遅れないようにすることを目的としています。


火災が発生して熱が蓄積されると、とある瞬間に一気に燃え上がるフラッシュオーバーという現象が起こります。言い換えれば内装制限は、内装材への着火を遅らせ、フラッシュオーバーを抑制することで避難時間を確保するためのものでもあります。


内装制限を守らないと建築基準法に違反していることになり、個人なら懲役3年以下または罰金300万円以下、法人なら1億円以下の罰金が課せられる可能性があります。




■内装制限を守るために使われる建材とは?



内装制限の対象となるのは、「壁」と「天井」の仕上げで、床は含まれません。

内装制限で指定される防火材料は、「燃焼しないものであること」、「防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること」、そして「避難上有害な煙またはガスを発生しないものであること」と定められています。


そしてこれら3つの条件を満たす時間によって、不燃材料・準不燃材料・難燃材料に分類されます。


不燃材料は加熱開始後から20分間防火材料の要件を満たすもので、コンクリート、レンガ、磁器質タイル、繊維強化セメント板、ガラス繊維混入セメント板(厚3㎜以上)、鉄鋼、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、漆喰、石などが該当します。


準不燃材料は加熱開始後から10分間防火材料の要件を満たすもので、石膏ボード(厚9㎜以上)、木毛セメント板(厚15㎜以上)、硬質木片セメント板(厚9㎜以上)、木片セメント板(厚30㎜以上)などが該当します。


難燃材料は加熱開始後から5分間防火材料の要件を満たすもので、厚さ5.5m㎜以上の難燃合板や、厚さ7㎜以上の石膏ボードなどが該当します。




■内装制限の対象となる建物の条件とは?



内装制限がかかるかかからないか、そしてその範囲などは、建物の用途や床面積、耐火性能などによって変わります。

「用途」「対象となる条件」「内装制限の内容」を下欄にまとめてみました。


(※国土交通省-建築基準法制度概要集より作成)


①劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場

【対象となる条件】

・耐火建築物/客席400㎡以上

・準耐火建築物/客席100㎡以上

・その他の建築物/客席200㎡以上

【内装制限の内容】

居室:難燃材料

通路など:準不燃材料



②病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等

【対象となる条件】

・耐火建築物/3階以上の部分300㎡以上

・準耐火建築物/2階部分300㎡以上

・その他の建築物/2階部分200㎡以上

【内装制限の内容】

居室:難燃材料

通路など:準不燃材料



③百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業

【対象となる条件】

・耐火建築物/3階以上の部分1,000㎡以上

・準耐火建築物/2階部分500㎡以上

・その他の建築物/2階部分200㎡以上

【内装制限の内容】

居室:難燃材料

通路など:準不燃材料



④地階の居室等で上記用途のもの、自動車車庫・自動車修理工場

【対象となる条件】

・すべて対象

【内装制限の内容】

居室:準不燃材料

通路・階段など:準不燃材料



⑤窓のない居室

【対象となる条件】

・すべて対象(天井高6m超えるものを除く)

【内装制限の内容】

居室:準不燃材料

通路・階段など:準不燃材料



⑥火気使用室

【対象となる条件】

・住宅/2階以上で最上階以外が対象

・住宅以外/すべて対象

【内装制限の内容】

火気使用室:準不燃材料



⑦大規模建築物

【対象となる条件】

・3階建て以上/500㎡超

・2階建て/1,000㎡超

・1階建て/3,000㎡超

【内装制限の内容】

居室:難燃材料

通路・階段など:準不燃材料



⑧地下街

【対象となる条件】

・100㎡以内に防火区画された部分

・200㎡以内に防火区画された部分

(20分遮炎性性能を有する防火設備を除く)

・500㎡以内に防火区画された部分

(20分遮炎性性能を有する防火設備を除く)

【内装制限の内容】

居室:準不燃材料

通路・階段など:不燃材料


このように飲食店なら、床面積200㎡以上だと内装制限がかかりますが、その建物が耐火建築物だった場合、2階以下なら内装制限はかからないことになります。




■内装制限は緩和できる?



内装制限に対応しようとすると、使える素材の選択肢が狭くなり、思い描くデザインにできなければ、費用が高くなってしまう場合もあります。

そんな場合は、緩和策をうまく取り入れることで解決できる可能性があります。

内装制限の対象になる場合でも、一定の条件を満たすことで緩和されるので、上手に適用してみましょう。

その条件は、以下になります。


・警報設備やスプリンクラーなどの設置
・3m以上の天井高さがあること
・屋外へ避難できる出口があること
・準耐火構造の間仕切りや防火設備で100㎡以内ごとに区画分けされていること
・IHコンロの使用


こうした設備導入やプランニングなどの工夫で、使用できる内装材の幅を広げ、理想のデザインを実現することも可能です。




■内装制限をクリアしながら理想の店舗デザインを実現するために必要なこととは?



建築基準法の内装制限についてご紹介しましたが、建築に造詣がないとその判断は難しいところ。

さらに建築基準法だけでなく、消防法やその自治体特有の規制もかかってきます。


》飲食店の開業に必要な消防法とは?消防署へ届出を出さないとどうなる?


》店舗の内装づくりでは、建築基準法などの法律に要注意


したがって、内装制限のある店舗内装工事を予定していらっしゃるオーナー様に必要なのは、まずは信頼できる内装業者を決めること。


内装制限という法律を守るためには、そもそも借りる物件が内装制限の対象になっているのか、判断できなければなりません。

そして内装制限の対象になっているのなら、どの部分に内装制限が該当するのか、また内装制限を守るためにどのような素材が使えるのか。

あるいは使える建材の種類を広げるためには、どのような緩和策を適用すべきか。


こうしたことを建築の専門知識なしに判断して一つずつクリアしていくのは至難の技です。また開業前というのは、契約や諸般の準備やPRなどで、ことのほか慌ただしいものです。

専門知識がないのに自分で判断しなければいけないことが多すぎて、始める前から失敗した……となってしまっては、元も子もないですよね。

プロジェクトの初期段階で、じっくり伴走してくれる経験豊富な内装業者に依頼するのが得策です。


千葉県流山市を拠点に内装工事全般を手掛けているタカネザワナイソウ工業は、店舗デザインの実績が豊富で、ヒアリング力・提案力・トータルサポートに定評があります。

モットーは、お客様が納得いくまで一緒につくりあげること。

コンサルティングから設計・施工まで一気通貫でトータルサポートするため、意思疎通がスムーズ。集客力を高める動線づくりにも長けているので、お気兼ねなくご相談ください。


タカネザワナイソウ工業は、お客様とコミュニケーションを取りながらものづくりをすることで、互いに「win-win」の関係性を築くことを理想としています。急ぎの工事よりはゆっくり膝を突き合わせ、良い材料を使って良い空間をつくりたい、というのが私たちの願いです。


こうしたポリシーから業界では珍しく、相見積もりはお受けしておりません。

納得できる店舗づくりをしたい、情熱をもったプロと協働したいという方は大歓迎ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。




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http://tnk-inc.com/contact


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